
建設業許可制度とは
1,建築一式工事 |
➀工事1件の請負金額が消費税込みで1,500万円に満たないもの |
2,建築一式以外の工事 |
③工事1件の請負金額が消費税込みで500万円に満たないもの |
3,その他許可不要な工事 |
a.自らが使用する建設工作物を自ら施行する場合(自社施工) |
許可が不要な工事は、上の図にある
「1,建築工事一式➀②」
「2,建築一式以外の工事③」
「3,その他許可不要な工事」
がありますが、これらに該当していなくても
建設業許可の基準を満たせば、許可を受けることができます。許可を受ける理由として、
・「許可が不要な軽微な工事」に該当しない
(この場合、無許可営業が違法行為になります)
・自社の信用度を向上させる目的
・金融機関から融資を受ける目的
・ゼネコンなど大手建設業者の下請けに入るための条件になっている
・自ら元請けとして公共工事に参加したい
これらの理由から建設業許可を取得する事業者は増加傾向にあります。
許可有効期間と更新手続き
・許可の有効期間は、許可日から5年を経過する日の前日を持って満了します。
・引続き建設業許可を維持するためには、有効期間満了日の30日前までに更新許可申請書を担当行政庁へ提出しなければなりません。
・更新許可申請書を提出している場合は、申請に対する処分があるまでは、従前の許可が有効となります。
この場合、更新申請が不許可になったときでも、有効期間満了後、不許可処分が行なわれるまでのあいだに締結された請負契約に基づく建設工事については、従前の許可が効力を失った後も継続して施工することができます。
具体例 | |
建築工事以外の工事工事1件の請負金額 が消費税込みで500万円に満たないもの |
➀元請けや施主から材料支給があり、その材料を含めると請負金額が500万円以上になる工事
②実質同じ工事を分割して請負っている場合で、合せると請負金額が500万円以上になる工事 |
許可を受けずに軽微な建設工事の限度を超える建設工事を請け負って営業すると、無許可営業として罰せられます。この場合、3年以下の懲役または300万円以下の罰則に処せられることになります。
(建設業法47条1項1号)
国土交通大臣許可 | 2以上の都道府県の区域に営業所を設けて営業しようとしている事業者 |
都道府県知事許可 |
1の都道府県の区域内にのみ営業所を設けて営業しようとしている事業者 |
令和7年2月1日から金額要件が見直しされました
特定建設業許可 |
1,発注者から直接請負う事業者が対象
2,1件の建設工事※につき、下請に請負わせる下請代金額が |
一般建設業許可 | 特定建設業の許可を受けようとする者以外の者が取得する許可 |
実務経験により、営業所技術者(専任技術者)となる場合に必要となるものが「実務経験証明書」です。
「実務経験証明書」は、業種ごとに作成する必要があり、例えば、①内装工事②とび・土工工事業の2業種を実務経験で証明する場合は各10年ずつの経験が必要となり、合計20年の実務経験が必要となります。
役職などは関係なく、現場監督、職人、見習いなど、どんな経験でも認められますし、未経験から建設業を始め、現場監督まで昇進した場合、すべて実務経験としてカウントできます。
また現場作業だけでなく、建築士や土木設計士など、設計技術者としての経験も実務経験とされます。ただし工事が始まる前の準備や雑務は、実務経験にはなりません。
また、実務経験の証明方法は、
➀年度で証明
②積上げで証明
する場合があります。表にすると下記のようになりますのでご覧ください。
(表) 実務経験の証明方法
➀年度で証明 | ②積上げで証明 |
---|---|
年間で代表する工事名1件を申請し、1年間の実務経験としてカウントする | 工事の工期に応じて経験をカウントする |
工事と工事の間隔が12カ月未満であれば、連続した実務経験としてカウントする | |
なお、実際のカウント方法は、自治体により独自ルールで運用されています。 |
【証明書類】
実務経験は、工事履歴や在籍証明などの書面を集めて立証しなくてはなりません。
実務経験を証明する資料は、主に以下のようなものが必要です。
契約書
発注書
請求書
通帳、入出金明細 など
では、どのように証明していくのか見ていきましょう。
契約書の有無を確認する
まずは契約書がないか確認しましょう。
工期など工事の詳細が確認できるため、契約書は一番証明しやすい書類です。
しかし規模の小さな工事や、昔から付き合いのある企業同士の工事などは、契約書を交わしていないケースも珍しくありません。
そのような場合でも、他の資料で証明できるため、あきらめる必要はありません。
ただし、建設業許可取得後の定期的な報告や、新たに許可を申請する際など、工事経歴の証明が必要になる場面は少なくありません。
工事の規模に関わらず、契約書や注文書などの書類を残しておくといいでしょう。
請求書+通帳でも証明できる
もし契約書を交わしていない場合や、過去のものが残っていない場合は、請求書や発注書など工事の内容を確認できる資料を探しましょう。
工事があった事実を証明できる資料であれば、認められる可能性は十分にあります。
また、同時に入出金の記録を準備しましょう。
請求書や発注書などを提出する場合は、入出金明細とセットにすることが重要です。
明細は、通帳の写しで証明することができます。
もし通帳が用意できない場合は、金融機関に取引明細を発行してもらいましょう。
会社に資料がない場合は、発注元や税理士などにも確認します。
特に規模の大きな会社から請け負った案件は、発注元に資料が残っている可能性が高いです。
また、入出金などお金に関することは税理士、もしくは経理担当にも確認してみましょう。
年金被保険者記録照会回答票で証明
日本年金機構が発行しているもので、年金加入履歴から会社名も確認できます。
転職している場合は要注意
過去に在籍していた会社での実務経験を証明する場合は、すでに退職した企業の協力が必要なため、少し注意が必要です。
前職の経験は、まず自分が携わった工事の履歴を発行してもらえるか確認することから始めます。
加えて建設会社に在籍していたことの証明も必要です。
過去に在籍していた会社に対し、職歴証明書(在籍証明書)の発行を依頼することは可能です。
しかし発行義務は退職から2年間とされています。
それ以前に退職している場合は、発行してもらえない可能性があります。
過去に喧嘩別れをしている場合や、すでに廃業しているなどは資料集めが難しくなります。
一つずつ地道に確認していきましょう。