

製造業と建設業の会計で異なる点として挙げられる特徴は➀勘定科目と②収益認識基準の2点です。
建設業会計では独特の勘定科目を使い会計処理を行いますが、科目名が異なるだけで、その意味や使い方は通常の製造業と同じです。
わかりやすく整理すると下記のようになります。
➀勘定科目
| 製造業 | 建設業 |
|---|---|
|
売上 |
完成工事高 |
|
売上原価 |
完成工事原価 |
|
仕掛品 |
完成工事支出金 |
|
売掛金 |
完成工事未収入金 |
|
買掛金 |
完成工事未払金 |
|
前受金 |
未成工事受入金 |
| 製造原価 | 完成工事原価 |
| 製造間接費 | 工事間接費 |
| 製造部門 | 施工部門 |
②収益の認識基準
| 収益認識基準の種類 | 説明 |
|---|---|
| 工事進行基準 |
工事の進捗に従って収益を計上するという 工事契約に関して、工事収益総額、工事原価総額及び |
| 工事完成基準 |
工事が完成し、引き渡したときに収益を計上する 工事完成基準とは、工事契約に関して、工事が完成し、目的 |
| 部分完成基準 |
請負工事の全部が完成しなくても部分的に引渡しが行われたときに |
企業活動の状況を表す計算書類のことを財務諸表といいます。
財務諸表
損益計算書
貸借対照表
キャッシュ・フロー計算書
株主資本等変動計算書
個別注記表
工事完成原価報告書
|
損益計算書 |
企業の経営成績を表す財務諸表 |
|
貸借対照表 |
企業の財政状態を表す財務諸表 |
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キャッシュ・フロー 計算書 |
直接法と間接法がある |
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株主資本等 変動計算書 |
貸借対照表の純資産の部の一会計期間 |
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個別注記表 |
会社計算規則により、重要な会計方針に係る |
建設業は、完成品の価格が高いことや着工から完成までの期間が長いため建設業会計は製造業会計とは異なる部分が多くあります。
会計公準
企業が会計を行ううえで基礎的前提および仮定であり、会計上の理論や原則が成立するための基本的な前提条件となっていることを「会計公準」と言います。
➀企業実態の公準
企業は、その出資者から分離した別個の存在であり、それを会計単位とする前提のこと。
②継続企業の公準
(会計期間の公準)
ア、減価償却計算
「企業は永続する」という仮定により、耐用年数を設け、その期間に費用を配分することになります。
イ、繰延資産の計上
「企業は永続する」という仮定により、将来の収益獲得に貢献するものとして、繰越資産の計上が認められている。
ウ、引当金の設定
「企業は永続する」という仮定により、将来の支出に備えた引当金の計上を行うことになります。
③貨幣的評価の公準
(貨幣的測定の公準)
企業はその経済活動を貨幣類によって記録・計算・表示するとする前提のこと。日本の場合は、円を貨幣単位とし統一して、記録・計算・表示しなければならないとする前提条件のこと。