建設業会計について

1,勘定科目について

製造業と建設業の会計で異なる点として挙げられる特徴は➀勘定科目と②収益認識基準の2点です。
建設業会計では独特の勘定科目を使い会計処理を行いますが、科目名が異なるだけで、その意味や使い方は通常の製造業と同じです。
わかりやすく整理すると下記のようになります。


➀勘定科目

製造業 建設業

売上

完成工事高

売上原価

完成工事原価

仕掛品

完成工事支出金

売掛金

完成工事未収入金

買掛金

完成工事未払金

前受金

未成工事受入金

 
製造原価 完成工事原価
製造間接費 工事間接費
製造部門 施工部門


②収益の認識基準
工事契約に関して、工事の進行途上においても、
その進捗部分について成果の確実性が認められ
る場合には工事進行基準を適応し、成果の確実
性が認められない場合には工事完成基準を適応
します。


三要件 ▶ 信頼性の見積 ▶ 成果の確実性 ▶ 収益の認識基準

➀工事原価総額
②工事収益総額
③決算日における
 工事進捗度

各要素について
信頼性をもって
見積もることが
出来る

成果の確実性が
認められる

工事進行基準

各要素について
信頼性をもって
見積もることが
できない

成果の確実性が
認められない

工事完成基準





収益認識基準には下記の三種類があります。


収益認識基準の種類 説明
工事進行基準

工事の進捗に従って収益を計上するという
発生主義に基づく認識基準


工事契約に関して、工事収益総額、工事原価総額及び
決算時における工事進捗度を合理的に見積り、これに応じて
当期の工事収益及び工事原価を認識する方法をいいます。


工事完成基準

工事が完成し、引き渡したときに収益を計上する
という実現主義に基づく認識基準


工事完成基準とは、工事契約に関して、工事が完成し、目的
物の引き渡しを行った時点で、工事収益及び工事原価を認識
する方法をいいます。
従って、引渡しが完了するまでは、収益(完成工事高)や費用(完成工
事原価)は計上しません。
工事完成基準では、各期に発生した費用を未成工事支出金(仕掛品)
とし、完成、引渡しのあった期に完成工事原価(売上原価)とします。

部分完成基準

請負工事の全部が完成しなくても部分的に引渡しが行われたときに
それに対応する工事収益を認識する基準。

2,財務諸表とは

企業活動の状況を表す計算書類のことを財務諸表といいます。

  • 財務諸表

  • 損益計算書

    貸借対照表

    キャッシュ・フロー計算書

    株主資本等変動計算書

    個別注記表

  • 工事完成原価報告書



損益計算書

企業の経営成績を表す財務諸表

貸借対照表

企業の財政状態を表す財務諸表
次期損益計算が正しく行えるように棚卸資産
や固定資産、固定資産を評価する。
経過勘定も貸借対照表を経由して振り替える。
勘定式と報告式があるが、建設業法施行規則
では報告式を採用している。

キャッシュ・フロー

計算書

直接法と間接法がある

株主資本等

変動計算書

貸借対照表の純資産の部の一会計期間
における変動額のうち、主として、株
主に帰属する部分である株主資本の各項目の
変動事由を報告するために作成する財務諸表

個別注記表

会社計算規則により、重要な会計方針に係る
事項に関する注記等および貸借対照表、損益
計算書、株主資本等変動計算書により会社の
財産または損益の状態を正確に判断するため
に必要な事項を注記するために作成が要求さ
れるものをいいます。
しかし、従来通り貸借対照表の注記事項とし
て記載することも認められています。

建設業は、完成品の価格が高いことや着工から完成までの期間が長いため建設業会計は製造業会計とは異なる部分が多くあります。


3,会計上のルール

会計公準
企業が会計を行ううえで基礎的前提および仮定であり、会計上の理論や原則が成立するための基本的な前提条件となっていることを「会計公準」と言います。



➀企業実態の公準
企業は、その出資者から分離した別個の存在であり、それを会計単位とする前提のこと。


②継続企業の公準
 (会計期間の公準)
ア、減価償却計算
「企業は永続する」という仮定により、耐用年数を設け、その期間に費用を配分することになります。


イ、繰延資産の計上
「企業は永続する」という仮定により、将来の収益獲得に貢献するものとして、繰越資産の計上が認められている。


ウ、引当金の設定
「企業は永続する」という仮定により、将来の支出に備えた引当金の計上を行うことになります。


③貨幣的評価の公準
 (貨幣的測定の公準)
企業はその経済活動を貨幣類によって記録・計算・表示するとする前提のこと。日本の場合は、円を貨幣単位とし統一して、記録・計算・表示しなければならないとする前提条件のこと。