専任技術者の要件

 

1,専任技術者の要件

【専任技術者の要件】
➀申請会社に常勤し、
 かつ
②実務経験/申請業種の技術的能力を有し、実務経験が一定期間あること。

 

※専任技術者は経管(経営業務管理責任者)の要件とは異なりますので、一般従業員でもかまいません。常勤役員等である必要はありません。

【解説】
②実務経験/申請業種の技術的能力を有し、実務経験が一定期間あることについて

 

10年の実務経験
資格なしで、指定学科卒ではない場合
以前、勤めていた会社の実務経験を含めることが可能です。

 

例えば、
➀前職で会社員として管工事を請負う会社に7年間勤務(実務経験)
②独立し、事業主として3年間の実務経験

➀7年間+②3年間=10年間

 

ただし、証明資料が必要となります。

通算することは可能ですが、
➀の場合、前職の会社に実務経験を証明してもらうとなると、なかなか難しい部分があると思います。

 

【技術的能力】
・専任技術者候補が申請業種に対応する理系の学科(=指定学科)を卒業していること。
3~5年

 

・許可業種ごとに定められている資格を有する者であること
 許可を受けたい業種が複数の場合、一人の技術者が複数の業種について資格を有していれば、該当するすべての業種の専任技術者になることができます。

 

 

1-2実務経験証明書について

実務経験により、営業所技術者(専任技術者)となる場合に必要となるものが「実務経験証明書」です。
「実務経験証明書」は、業種ごとに作成する必要があり、例えば、①内装工事②とび・土工工事業の2業種を実務経験で証明する場合は各10年ずつの経験が必要となり、合計20年の実務経験が必要となります。
役職などは関係なく、現場監督、職人、見習いなど、どんな経験でも認められますし、未経験から建設業を始め、現場監督まで昇進した場合、すべて実務経験としてカウントできます。
また現場作業だけでなく、建築士や土木設計士など、設計技術者としての経験も実務経験とされます。ただし工事が始まる前の準備や雑務は、実務経験にはなりません。

 

また、実務経験の証明方法は、
➀年度で証明
②積上げで証明
する場合があります。表にすると下記のようになりますのでご覧ください。

 

(表) 実務経験の証明方法

➀年度で証明 ②積上げで証明
年間で代表する工事名1件を申請し、1年間の実務経験としてカウントする 工事の工期に応じて経験をカウントする
工事と工事の間隔が12カ月未満であれば、連続した実務経験としてカウントする

なお、実際のカウント方法は、自治体により独自ルールで運用されています。
そのため、どの方法で積み上げていくかは、提出先の自治体によって異なります。
申請する際は、窓口でよく確認しましょう。

 

 

【証明書類】
実務経験は、工事履歴や在籍証明などの書面を集めて立証しなくてはなりません。

 

実務経験を証明する資料は、主に以下のようなものが必要です。

 

契約書
発注書
請求書
通帳、入出金明細 など

 

 

では、どのように証明していくのか見ていきましょう。

 

契約書の有無を確認する
まずは契約書がないか確認しましょう。
工期など工事の詳細が確認できるため、契約書は一番証明しやすい書類です。
しかし規模の小さな工事や、昔から付き合いのある企業同士の工事などは、契約書を交わしていないケースも珍しくありません。
そのような場合でも、他の資料で証明できるため、あきらめる必要はありません。
ただし、建設業許可取得後の定期的な報告や、新たに許可を申請する際など、工事経歴の証明が必要になる場面は少なくありません。
工事の規模に関わらず、契約書や注文書などの書類を残しておくといいでしょう。

 

請求書+通帳でも証明できる
もし契約書を交わしていない場合や、過去のものが残っていない場合は、請求書や発注書など工事の内容を確認できる資料を探しましょう。
工事があった事実を証明できる資料であれば、認められる可能性は十分にあります。
また、同時に入出金の記録を準備しましょう。
請求書や発注書などを提出する場合は、入出金明細とセットにすることが重要です。
明細は、通帳の写しで証明することができます。
もし通帳が用意できない場合は、金融機関に取引明細を発行してもらいましょう。

 

会社に資料がない場合は、発注元や税理士などにも確認します。
特に規模の大きな会社から請け負った案件は、発注元に資料が残っている可能性が高いです。
また、入出金などお金に関することは税理士、もしくは経理担当にも確認してみましょう。

 

年金被保険者記録照会回答票で証明
日本年金機構が発行しているもので、年金加入履歴から会社名も確認できます。

 

 

 

 

 

転職している場合は要注意
過去に在籍していた会社での実務経験を証明する場合は、すでに退職した企業の協力が必要なため、少し注意が必要です。
前職の経験は、まず自分が携わった工事の履歴を発行してもらえるか確認することから始めます。
加えて建設会社に在籍していたことの証明も必要です。

 

過去に在籍していた会社に対し、職歴証明書(在籍証明書)の発行を依頼することは可能です。
しかし発行義務は退職から2年間とされています。
それ以前に退職している場合は、発行してもらえない可能性があります。
過去に喧嘩別れをしている場合や、すでに廃業しているなどは資料集めが難しくなります。
一つずつ地道に確認していきましょう。

2,営業所専任技術者制度の概要

配置技術者=監理技術者、主任技術者
建設工事の適正な施工の確保

営業所専任技術者制度の概要 特定建設業 一般建設業
営業所専任技術者の要件 監理技術者の要件と同等 主任技術者の要件と同等
許可が必要な工事

下請金額が5,000万円以上の元請工事
建築工事業は8,000万円以上の元請工事

左記以外(軽微な工事を除く)

・建設業者は、工事現場における施工の技術上の管理をつかさどる者として主任技術者を設置しなければなりません。
 なお、元請は、下請契約の請負金額の合計が一定以上の場合は、主任者ではなく監理技術者を設置しなければなりません。
・技術者の求められる要件は、特定建設業の営業所専任技術者監理技術者一般建設業営業所専任技術者主任技術者は同じになります。

工事現場に置く配置技術者 監理技術者 主任技術者
対象工事

下請代金総額が4,500万円以上の元請工事
建築一式工事は7,000万円以上

下請け工事または左記以外の元請工事
技術者の要件(概要)

➀一級国家資格者
・1級施工管理技士
・1級建築士
・技術士
②実務経験者(指定建設業※は除く)
・主任技術者としての要件(右記の主任技術者としての実務経験)を満たす者のうち、
元請として4,500万円以上の工事に関し2年以上の指導監督的な実務経験を有
する者
③国土交通大臣特別認定者

 

※指定業種=土木一式、建築一式、舗装、鋼構造物、管、電気、造園の7業種

➀一級国家資格者
・1級施工管理技士
・1級建築士
・技術士
②二級国家資格者
・2級施工管理技士等
②実務経験者
・大学(指定学科)卒業後3年以上の実務経験
・高校(指定学科)卒業後5年以上の実務経験
・10年以上の実務経験

・建設業者は、工事現場における施工の技術上の管理をつかさどる者として主任技術者を設置しなければなりません。
 なお、元請は、下請契約の請負金額の合計が一定以上の場合は、主任者ではなく監理技術者を設置しなければなりません。
・技術者の求められる要件は、特定建設業の営業所専任技術者監理技術者一般建設業営業所専任技術者主任技術者は同じになります。

 

3,専任技術者の不在・変更

専任技術者の不在は、建設業許可要件に反するため、認められません。

 

退職や長期療養など何らかの理由で不在になった場合は、速やかに新しく専任技術者を立てる必要があります。
複数カ所を兼任することはできないため、新しく営業所を構える場合も、新たな技術者が必要です。
専任技術者に変更があった場合は、変更の日から2週間以内に届出が必要です。
届出を怠った場合、6カ月以下の懲役または100万円以下の罰金が科される可能性があります。
また、届出ができていないと経営事項審査の申請や建設業許可更新申請ができません。
必ず期限内に届出を行いましょう。
ちなみに、結婚等による氏名の変更も届け出ておかなければ、本人不在とみなされるため、注意が必要です。

 

 

4,現場技術者の専任合理化

令和6年施行現場技術者の専任合理化